インド思想入門 「完全な他人の道を行くより、不完全であっても自分の道を行け」ギーターのことば
ギーター/3-35
わが道程に、たとえ何らかの欠陥があろうとも、
遺漏なく辿った他人の道より勝る。
己れの道を行きつつ死ぬも良し、
しかし他人の道は恐怖である。
A・ ヴィディヤーランカールの解説
我々は自分の本性を直ぐに変えてしまうことはできない。しかし度々我々は他人の真似をしたくなる。何故なら、我々はそれらの道に魅力を感じるからである。若者たちは社会に広がる現在の流行に安易に影響されてしまい、そして殆んど後でそう決めて為したことを後悔する。
精神的な生活に関してもこのことは当てはまる。もし我々が誰かの真似をして、何らかの精神的な道を進み始めたとしても、我々はそこで迷いと失望を手にするだろう。
我々は常に自分に正直な態度と自分の性質に合った正しい生き方を選び、その道を歩まねばならない。
出典『ギーター・サール』インド思想入門
A・ ヴィディヤーランカール著
長谷川澄夫訳 東方出版2007より
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私見: 私たちの住む世界は、いわば相対界だろう。対極にある世界が 完全で美しい絶対界だとすると、それに比べて相対界は はなはだ不完全であるし、世界の各国は覇権を争い、経済はドンづまりで99%の人々は困窮し、政治家は無茶をして権力者は利権をむさぼる とんでもなくヒドい世界だ、などと時々文句を口走ってしまったりしないだろうか?!
しかしTM瞑想のヨーギ、マハリシは
「相対界はもともと不完全なのだから、不完全性について文句を言わないようにしましょう」
と後進にアドバイスしている。
このマハリシの言葉は、若い頃ははじめピンとこなかったのだけれど、最近は なるほど!と心に響いてくるようになった。
私たちは時として完全主義というワナにはまってしまい、自分に対しても また他人に対してもついつい批判的で厳しく接してしまうことがあるけれど、
不完全な相対界なのだ、と考えれば、広い心でいられるような心持ちがするから ほっとする。
何を行っても完全にはいかないけれども、それでも他人を真似て完全であるより、不完全であっても 自分の人生を生きることが大事なのだ、とこのギーターの章句は示してくれている。
とても印象深く、そして心の励みになっている。
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皆さんはどう思われますか?
ここまでお読みくださりありがとうございました。