インド思想入門 「行為は行為をしないより勝っている」ギーターのことば

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ギーター/3-8
汝よ、自分に決められた仕事は必ず果たせ。    何故なら行為は行為をしないより勝っているからで  ある。
  また仕事をしないと汝の肉体の維持さえできなく  なるであろう。

………

A・ヴィディヤーランカールの解説
  :もし行動するかしないか、どちらかを選択しなければならないとすれば、ギーターはどんな状況においても行動することが勝っていると、明確に告げている。そして如何なる人も自分の肉体を維持するために何らかの仕事をつづけなければならない。しかし仕事の意味は単に肉体を保ち、また何かの肉体的な活動を続けるだけではない。それぞれの人間が自分の家族や社会に対し、また自分に対して何らかの仕事が決められている。
それらの定められた仕事をしつづけてこそ、人は自分の人生の目標に進んでいくことができる。

修行の意味は家庭や社会を捨てて森に隠棲することではない。
社会に住みつつ、実生活の諸問題に立ち向かい、それらを考察し、解決してこそ、我々は自己を向上させることができるのである。

………

私見 : 決められた仕事 ということについては、少し考えさせられる。

本当に自分自身が望んでいる仕事であれば、自己実現であり、社会への最大の貢献となると思うのだが、自分が本来望んでいない、いやいやストレスまみれで行っている仕事であっても、決められた仕事とされる可能性もあるから。

しかしそれでも やらないよりやった方が勝っている ということだろうか?!

最大の社会貢献は、自分自身が本当にやりたいことを見つけ出し、本当に心からやりたいことを行うことだと思う。(一説では、嫌々行う仕事と 大好きな仕事を積極的に行うのとでは、その生産性に約250倍の差が発生するとか)
そしてそれこそが自分にとって本当に責任ある行動だと思う。

しかしながらギーターのこの章句は、たびたび思い出される 素晴らしい達見だと感ずる。

皆さまはどうお考えになりますか?

ここまでお読みくださりありがとうございました。

出典『ギーター・サール』インド思想入門
   A・ ヴィディヤーランカール著
   長谷川澄夫訳 東方出版2007