鎌田東二氏 画廊で法螺貝を吹く

ある日 霊感に優れた女性と電話で話しているとき、突然こう言われた。
「あなたは カマタトウジ の弟子なんでしょう?!」
一瞬 なにを言われているのか分からなくて返答に困った。大変失礼なことだけれども、当時 鎌田東二氏を存じ上げなかったのだ。
しかし 彼女のひと言は心のどこかに残りつづけた。

そんなことがあってから どれくらいたっただろうか?しばらくして彫刻家のIsobe氏から こんな提案をされた。
「銀座の画廊のオープニングセレモニーで、宗教学者のカマタトウジが法螺貝を吹くんだって。一緒に行ってみないか?!」
なかなか面白そうな企画だ、と思った。もちろん快諾して 一緒に行ってみることにした。

当日夕方、銀座画廊のオープニングセレモニーが始まる時間ギリギリに会場へと滑り込んだ。
既に大勢の芸術関係者(だろう)が 広い会場をぐるりと円形に取り囲んで立っていた。
ひと1人おいて左側に Isobe 氏がいて、身ぶりで「おう!(来たか)」と合図を交わした。
正面に 神道の幣束(へいそく)らしい立棒に 独特の形の切り紙が付いている。
マイクを持った男性司会者が言うには(記憶が定かではないが) 「この幣束は 三峰神社に伝わるもので龍神を表している。   を降ろしたりすると大変なことになる。」 といった話をしていた。すると
ブルブルブル…と自分の左足やひざが震え始めた。
ただならぬ気に、これは もうすでに鎌田氏がなにかの儀式を行ったに違いない、と思った。

「それでは鎌田東二先生、お願いします。」と司会者の男性が声をかけると、何と 自分のすぐ左側となりにいた人物が 鎌田東二氏だったのだ。
あざやかな緑色上下のジャケットとズボンにサングラスを着けた鎌田氏は アイルランドの聖地から帰ったばかりだと言う(アイリッシュ・グリーンだろうか?)。
そして話終えて、ボウオー!と 迫力満点に法螺貝を吹き鳴らした。